お客様のご要望
・高い性能
・通常時に使い勝手の良い扉にする
・転倒防止策を検討してほしい
・ボックス内部の床面を嵩上げしてフラット化する
・ボックス外部にモーターユニットを設置する
オータマからの提案・成果
この製品は、パーマロイ(PC)を2層にするだけではなく、ある程度、高い周波数帯を意識してアルミの層も備える3層構造ということで、下地をどのように形成していくかがポイントでした。一般的なシールドボックス(PCパーマロイのみを使用)とは形が異なるため、設計には時間を費やしました。検討を重ねた結果、構造上、板金のみで自立させることは難しいため、フレーム式を採用し、既製品のアルミフレームを用いることにしました。
扉部分は、通常、大型のものは専門業者に依頼することが多いのですが、本件では詳細設計から製作までを社内で実施しています。主に注力したのは、重量のある扉のスムーズな開閉と、パーマロイとアルミから成る3層各層の接触部分です。蝶番の選定、建具の強度、接触部の構造など、新たに使用した部品や検討した構造は多数あって、今後に繋がる設計になっています。
次に、転倒防止対策については、ボックス前面のアウトリガーをお客様に提案して実装しました。地震による転倒も考慮していますが、重量のある扉を開閉した際にバランスを崩して転倒してしまうことを一番に危惧しています。そのため、前方にのみアウトリガーを取り付けています。結果として、アウトリガーがない状態でも扉の開閉による転倒は見られませんでしたが、安全運用のため実装した状態での使用を推奨しています。
ボックス内の床面は、扉下部分にあるパーマロイの接触の関係から開口部よりも凹んだ形状になっており、お客様からは凹んだ部分を開口部下側とフラットにするよう、嵩上げを依頼されました。ボックス内に入れるものが重量物ということで、強度に加えて、出し入れの際には架台の脚を滑らせて設置できるようにしています。
そして、外側に設けたモーターユニットですが、ユニットからボックスの内部へ軸棒を挿入する構造になっているため、モーターユニットの設置部分には高さや位置等を調整するための機構が必要でした。また、ユニット自体もある程度重量があるので、設置部分の強度にも注意しなければいけませんし、移動時などにボックス着脱ができるようにする必要がありました。設置台調整機構は、調整押しボルトと固定ボルトによる構造とし、強度および着脱構造に関しては、既製品アルミフレームの強度と構造を生かした設計で、高い強度と簡便な着脱性を達成しました。